不思議コラム (51~60)
51.エクトプラズム
とにかく幽霊が怖いという方は、ここから先はご遠慮願います。
心霊スポットに行くことが危険である理由の1つは、勝手に他人の家に土足で上がり込むようなマネをするからだと考えられます。これは、もし誰かが自分の家に土足で上がり込んで来たら、その侵入者に対して自分がどういう行動に出るか考えれば、よく理解できるでしょう。
逆に言うと、幽霊も人格を持った人間であることを理解し、幽霊に対する失礼な言動を慎めば、実はそれほど幽霊を恐れる必要はないようです。そこで、これからしばらくは、幽霊との付き合い方を学ぶため、様々な心霊現象を取り上げ、その本質を明らかにしていきたいと思います。
以前、「4.心霊映像」で、幽霊を目撃する場合、目撃した本人は肉眼で見ているように感じても、実際には霊視しているのだという考えをご紹介しました。多くの幽霊目撃談は、この考え方で矛盾なく説明できると思いますが、まれに、物質化した霊を目撃することもあるようです。
もし、このとき写真撮影が可能なら、肉眼で見た幽霊の姿と、写真に写った幽霊の姿が一致することになります。その好例として、『心霊講座』(浅野和三郎:著、嵩山房:1929年刊)という本に、霊が物質化した様子を科学者が撮影した写真があるのでご紹介しましょう。
この写真の向かって右側の男性は、「8.最強の霊媒師」でご紹介した科学者のウィリアム・クルックス卿で、左側が「ケーティ・キング」(Katie King)と名乗る女性の幽霊です。
この幽霊は、1872年頃、フローレンス・クック(Florence Cook)という、当時15歳の女性に出現し、1874年の春から、クルックス卿による様々な実験に参加・協力したそうです。
当初、ケーティは暗がりにしか出現できなかったそうですが、クック嬢が霊媒としての才能を開花させ、恍惚状態に入るようになると、ケーティは石油ランプやフラッシュの光にも耐えられるようになったそうです。
なお、幽霊は、「エクトプラズム」とよばれるものを使ってその姿を物質化するそうで、人間らしい姿にするためには、霊自身が努力してその扱いに習熟する必要があるそうです。
エクトプラズムは、霊媒の体内から抽出するそうで、これに強い物理的な刺激を加えると、霊媒がダメージを受けてしまうそうです。
実際、ある実験会で、暴漢がケーティに襲い掛かって腰のあたりをつかんだことがあったそうですが、ケーティは次第に消えてゆき、暗室で手足を縛られていたクック嬢は、その後数日間寝込んでしまったそうです。
なお、エクトプラズムが霊媒の体内から抽出される証拠としては、実際にクック嬢の体重の変化を記録したことがあり、それによると、約50kgだった彼女の体重は、ケーティが出現すると、25kgまで減少したそうです。
この、エクトプラズムでできた肉体には、非常に興味深い特徴があるので、列挙しておきましょう。
1.ケーティは、最初は顔だけしか物質化できなかったので、不完全な部分を隠すために白い布のようなものをかぶっていた。ケーティの頭部を手で触った人たちの報告によると、顔はお面のようで、背後は空っぽだった。
2.ケーティが顔の材料に使う物質は、触ると湿っぽい羊皮紙のような感触があった。
3.ケーティの手の皮膚は、大理石かロウのように滑らかだった。
4.しかし、ケーティの手は冷たいわけではなく、普通に体温があり、脈も打っていた。
5.手首には骨がなかったので、そのことをケーティに告げると、1~2分後には骨ができていた。
6.ケーティはクック嬢に似ていたが、あるときは小柄で、あるときは背が高く太っていた。
7.ある人が、驚いた拍子にケーティの手首を強く握ったところ、手首は薄紙のようにしわくちゃになった。
なお、クック嬢以外にも、幽霊の物質化現象を起こす霊媒は多数いて、多くの科学者がその現象を研究したそうです。その報告によると、エクトプラズムにはオゾンのような臭いがあり、その成分は、多量の白血球や上皮細胞を含んでいるが、大体唾液の成分に類似していたそうです。
また、著者の総括によると、霊媒の背後には必ず守護霊や補助霊がいて、その守護霊の指図によって霊媒や周囲の人間から必要なエクトプラズムを抽出し、そのエクトプラズムを原料にして好みの姿を形成し、完成後に霊魂がそのなかに入り込むことによって、目に見える幽霊が出来上がるのだそうです。
したがって、エクトプラズムによる物質化現象は、「霊魂の物質化」ではなく、正しくは「物質の霊化」とよぶべきものなのだそうです。つまり、現われた姿を見て霊魂の実体だと思うのは間違いで、我々の肉体と同様、それは仮の姿に過ぎないということです。
この『心霊講座』という本には、エクトプラズム以外にも、科学的に検証された数多くの心霊現象(心霊写真、霊との直接対話、テーブル浮揚、物品引き寄せ、自動書記、等々)が収録されています。600ページを超える大作ですが、ぜひ一度、国立国会図書館デジタルコレクションでご覧ください。 (2015年11月1日)
52.オーブ
デジタルカメラが普及し、現像する手間をかけずに、撮った写真をその場で楽しめる時代になりましたが、ときに、その写真に不思議な白い球体が写り込むことがあるようです。もちろん、自然現象として説明可能な場合もありますが、原因不明の場合は、その球体を「オーブ」(Orb)とよぶようです。
次の画像は「WHNT News 19」というCBS系列のテレビ局が放送したもので、アメリカ合衆国アラバマ州コルバート郡の緊急事態管理庁(Emergency Management Agency:EMA)のオフィスで撮影された、オーブと思われる写真です。ずいぶんたくさん写っていますね。
次の画像はこの建物を改装する際に撮影された写真(左側)で、白いモヤのようなものが写っています。それを、地元の歴史家が画像処理して鮮明化したのが右側の写真で、多数の人影のようなものが浮かび上がっているのが分かります。
この建物の古い図面を確認すると、この場所には、1884年に大広間とボーリングのレーンがあったことが判明したそうです。したがって、ひょっとするとこの写真は、今もここでボーリングを楽しむ幽霊たちを偶然撮影したものかもしれませんね。
そう考えると、最初の画像のオーブも、心霊現象ということになりそうです。実際、超自然現象を示唆する写真はこれ以外にもあり、今回、取材班が撮影した写真にも人影らしきものが9体写っていたそうです。また、ここで働く従業員たちも、不思議な現象や不思議な物音を見たり聞いたりしているようです。
ただし、それが幽霊であろうとなかろうと、EMAの人たちはおびえていないそうです。日本だったら、すぐにお祓いだとか大騒ぎになりそうなケースだと思うのですが、アメリカ人は基本的に幽霊を怖がらず、冷静に行動するようです。さすがに合理主義の国だけあって、立派な態度ですね。
なお、雨や雪、ホコリなどが、フラッシュの光に照らされてオーブのように見えることがありますが、その場合は、そういった光を反射する物体が被写体よりもかなり手前(カメラ寄り)にあって、ピンボケ状態になる必要があるので、焦点が合っている被写体の近くに現われたオーブとは明確に区別できます。
YouTubeには、様々なオーブの画像が投稿されているので、本物と思われるものを少しご紹介しましょう。次の写真は、被写体に寄り添うようにして現われたオーブで、表面には模様が見られることからも、室内のホコリとは明らかに異なることが分かります。
また、オーブは常に球体とは限らないようで、変形したものも観察されています。次の写真は、あるアシュラムの集会に出現したオーブで、形状が球体からかなり変形しているように見えます。
次は動画で、猫を撮影中に偶然オーブが写ったようですが、部屋の隅から現われたオーブ(左の画像:46秒)が、撮影者の方に近づいてきて(中央の画像:48秒)、すぐに右に移動して消え、新たに別のオーブが画面を横切ります(右の画像:50秒)。これを見る限り、オーブは想像以上に素早く動くようです。
それでは、オーブとはいったい何なのでしょうか? 世の中には、オーブ自体を霊体だと思っている人もいるようですが、「エクトプラズム」の場合から類推すると、オーブを霊と同一視するのは間違いのようです。
オーブは、いわゆる人魂(ひとだま)とは違って、自らは発光していないようです。もし発光していれば、暗闇のオーブは常に目視できるはずですが、そういう話は聞いたことがありません。発光していないものがカメラに写るということは、そこに光を反射する物質があるか、あるいは念写ということになります。
しかし、オーブの動画を見る限り、念写の可能性はなさそうに思われます。逆に、最初にご紹介したEMAオフィスのオーブや、アシュラムの集会に出現したオーブは、いかにもフラッシュの光を反射しているように見えます。したがって、オーブがこの世界の物質であることは間違いなさそうです。
そうすると、エクトプラズムによる物質化現象が、「霊魂の物質化」ではなく「物質の霊化」であったように、霊が空気中の物質を集めて作り上げ、霊化したものがオーブである、という仮説が成立するのかもしれません。
なお、オーブが出現する目的は様々だと思われますが、もしオーブがカメラに写ることを霊が知っているのなら、それは霊からのメッセージという可能性もあります。場合によっては、霊が自分の存在を、生きている人を怖がらせないように伝えようとしているのかもしれませんね。 (2015年11月13日)
53.ポルターガイスト
ここからは、幽霊が怖くない方も、霊障にご注意ください。
次の画像はCNNが放送したもので、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ハノーバーにあるディアナ・シンプソンさん(Mrs. DeAnna Simpson)の自宅です。これは、一見普通の民家ですが、前回ご紹介したEMAオフィスよりもさらに強く霊の存在を感じる場所のようです。
この家では、奇妙な音がしたりオーブが出現したりするだけでなく、人の声のようなものが聞こえたり、ドアが勝手に閉まったり、黒い人影のようなものがカメラに写ったり、皮膚に引っかかれたような傷ができたりするそうです。次の画像は家の中に出現した黒い人影の写真です。
今回、この家を訪れたCNNの取材班も、メンバーの一人が右腕を引っかかれ、女性のリポーターも何かに触られたりつねられたりしたそうです。こういった現象は、「ポルターガイスト」(Poltergeist=騒がしい幽霊)とよばれる現象で、シンプソン家のポルターガイストは、アメリカでは有名なようです。
YouTubeには、他にも様々なポルターガイストの画像が投稿されているので、興味深いものを少しご紹介しましょう。まず、世界的に有名なのが、「マッケンジー・ポルターガイスト」として知られる、イギリスのエディンバラにあるグレイフライアーズ教会墓地です。
なお、イギリスは、正式名称を「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)といい、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4か国の連合国家です。エディンバラはスコットランドの首都で、この墓地はその中心部にあります。
「マッケンジー・ポルターガイスト」という名前の由来は、17世紀に政治的な争いが起こった際に、国王に敵対する数百人もの人間を虐殺したとされるジョージ・マッケンジー卿という人物の墓所がここにあり、ポルターガイスト現象は、このマッケンジー卿の祟りだと考えられているからです。
★☆★ この動画は閲覧注意です ★☆★
というのも、1998年に、浮浪者がマッケンジー卿の墓所の鍵を壊して内部に侵入するという事件があり、それ以来、何度も新聞記事になるようなポルターガイスト事件が発生したからです。新聞記事にご興味のある方は、ちょっとグロテスクですが、上の動画をご覧ください。
その現象は、切られたり、噛みつかれたり、引っかかれたり、失神したりするというもので、とても攻撃的です。また、1999年には、エクソシストのコリン・グラント氏(Mr. Colin Grant)が招かれ、悪魔払いの儀式を行なったそうですが、その後、この男性は死んでしまったそうです。
もし、ここに行きたい場合は、ガイド付きの観光ツアーがあるので、それに申し込むのが便利です。ただし、「Mackenzie Poltergeist」で画像検索すると、傷ついた痛々しい皮膚の画像がたくさん出てくるので、女性はここに近寄らないようにするのが賢明でしょう。
次は、今年の10月21日にフジテレビで放送された「世界の何だコレ!?ミステリー」というテレビ番組に登場した動画です。オフィスの監視カメラが、誰もいないのに椅子が動いたり、コンピューターのモニター画面が一斉に点滅したり、ドアが勝手に閉まったり、書類が散乱する様子をとらえています。
ただし、これはフェイクです。YouTubeのコメント欄を見ると、3分55秒と4分1秒を比較するよう書かれていたのでチェックしてみると、中央のキャビネットの位置が周囲と少しずれていることが分かります。ひょっとすると、大掛かりなセットを組んで、何日もかけて撮影が行なわれたのかもしれません。
心霊映像は、作り物が多いので気を付けなければなりませんが、テレビで放送された監視カメラの映像となると、つい信用してしまいますね。この動画には、他にも突っ込みどころが指摘されているので、ご自分の鑑識眼に自信をお持ちの方は、間違い探しに挑戦してみてください。 (2015年11月26日)
54.幽霊撃退法・自宅編
以前、「6.幽霊撃退法」で、宿泊したホテルに幽霊が出た場合の対処法をご紹介しましたが、自宅に幽霊が出る場合はどうしたらいいのでしょうか? 自宅に出る幽霊は、居住権を主張している可能性があるので、叱ったりお願いしても退散してくれないかもしれません。
また、前回ご紹介したポルターガイスト現象が頻発する場合は、お経を唱えた程度では問題は解決しないかもしれません。かといって、霊能者に頼むと、法外な祈祷料を要求される場合がありますし、高価な壺や墓石を買わされる危険もありますから、できれば自力で解決したいものです。
そこで、ひょっとしたら自宅に出没する幽霊に効果があるかもしれない安上がりな幽霊撃退法をご紹介しましょう。なお、「御札を貼る」という方法は、信仰心のない人がやってもあまり効果がないと思われるので、今回は割愛させていただきました。
(1)燃えるような真っ赤な花を置く
これは、2011年1月1日の深夜にフジテレビで放送された「オレたちお笑い心霊団」というテレビ番組で、「大泉の母」という人物が推奨していた方法で、赤い花には浄化作用があるそうです。これは安上がりでいいですね。
また、彼女は、悪いものが家に入らないようにする方法として、玄関の内側と外側に塩とお酒をまくことを推奨していました。これは、玄関が汚れそうなので、その点は覚悟の上でお試しください。なお、その場合、塩事業センターの「食塩」は効果がないそうなので、粗塩(あらじお)をお使いください。
(2)フランキンセンスを常備する
これは、BeeTVの「狩野英考の行くと死ぬかもしれない肝試し」という番組で、お笑いグループ「安田大サーカス」の「クロちゃん」というタレントさんが紹介していたもので、フランキンセンスは、霊が寄り付かなくなるアロマオイルだそうです。
フランキンセンスは、日本語で乳香(にゅうこう)といい、古くから香料として利用されてきたそうです。また、「フランキンセンス 除霊」で検索すると、フランキンセンスの除霊効果を解説しているアロマのお店もあり、実際に除霊のためにフランキンセンスを購入する人もいるようです。
なお、この番組で、「クロちゃん」はフランキンセンスの精油の香りを直接鼻で嗅いでいましたが、これは人体に有害だと思いますので、加熱できるタイプの香台を使うか、水にフランキンセンスの精油を数滴入れたものを、霊が出没する場所に霧吹きで噴霧してはいかがでしょうか?
(3)水字貝(すいじがい)を置く
これは、ラジオ番組の制作などを手掛ける「クリックボイス沖縄」が、USTREAMで配信した「怪談降臨 第八夜(沖縄 怪談話)」という番組で、フリーライターの小原猛さんが紹介していたものです。
それによると、小原さんの知り合いに、自宅の庭に日本兵の幽霊が多数出現するという人がいて、ある日、水字貝を30個ぐらい庭につるしたところ、夜になって出現した日本兵はみんなその水字貝に吸い込まれてしまい、それ以来、日本兵の幽霊は現われなくなったのだそうです。
水字貝は、沖縄ではお守りや魔除けとして使われるそうですが、その美しい形状から、インテリアとしても使えるので、幽霊が出ないお宅でも、あらかじめ水字貝をいくつか部屋に飾っておけば、災いを未然に防ぐことができて一石二鳥かもしれませんね。
(4)心霊現象の研究者になる
以上の対策で効果がなかった場合でも、がっかりする必要はありません。最後に、心霊現象の研究者になるという選択肢が残されています。自宅が心霊スポットというのは、なかなか望んでも得られることではないので、他の心霊現象の研究者たちからうらやましがられるのは間違いないでしょう。
そこで、心霊現象を研究するための初歩的なツールをご紹介しましょう。心霊現象は、電磁場や温度の異常を伴うことが知られており、それらを測定することによって、霊の居場所を探知したり、霊と交信したりすることが可能となるようです。アメリカでは、次のような安価な計測器が普及しています。
左の「Mel-8704-R」は、電磁場と温度を測定する装置で、Amazonで99.8ドルで売られています。また、右の「K-2 EMF Meter」は、電磁場の強度を視覚的に検知できるようにしたもので、Amazonで59.9ドルで売られています。いずれも、ゴーストハンター用の商品として売られているものです。
次の動画は、イギリスの心霊スポットで、「K-2 EMF Meter」を使って霊と交信している様子です。近くに霊がいると、LEDが全部点灯します。質問者は、「はい」か「いいえ」で答えられる質問を用意し、「はい」なら近づくよう霊に頼んで、霊の性別や年齢、気持ちなどを尋ねています。
かつては、霊媒とよばれる特殊能力者がいないと、霊と交信することはできなかったわけですから、思えばいい時代になったものです。これを使えば、自宅に居座っている幽霊と交渉して、出ていってもらうことも不可能ではないかもしれません。ご健闘をお祈りいたします。
なお、こういった計測器は、日本では売られていないようですが、その代わり、「ゴーストレーダー」と称するものが何種類か販売されているので、ご興味のある方は調べてみてください。また、「K-2 EMF Meter」の代用品として、方位磁石を使うことも可能かもしれません。 (2015年12月4日)
55.心霊ニュース
日本では、心霊現象がニュースになることは稀で、せいぜいワイドショーのネタになるのが関の山ですが、ひょっとするとこれは、心霊現象は恐ろしいという先入観があって、恐ろしいものをニュースとして報道することにためらいがあるせいかもしれません。
しかし、それでも注意していれば、ときどき心霊現象を報じるニュースを見つけることができます。最初にご紹介する記事は、心霊スポットとは無関係な場所で霊を目撃する人が続出し、その後の調査で現場から死体が発見されたケースです。
この記事によると、1977年12月7日の夜、埼玉県秩父市で、防火用貯水槽の中から女性の腐乱死体が見つかったのですが、この場所では、その年の夏ごろから幽霊を目撃する人が続出し、「ヘッドライトに人影が浮かんだが、車を止めるとだれもいなかった」といった話が飛び交っていたそうです。
例えば、殺人事件の現場が廃墟となり、そこに肝試しに行った人間が幽霊を目撃する場合、恐怖心から何か別のものを幽霊と錯覚するということは十分考えられますが、このように、何の事件もなかったと思われていた場所で複数の通行人が幽霊を目撃する場合は、本物である可能性が高いようです。
ただし、この幽霊は、死体を見つけてほしくて姿を現わしていたと考えられますから、恐れる必要のないものだと判断できます。前回ご紹介した「K-2 EMF Meter」のような装置を使ってこの霊と交信していれば、もっと早く遺体を見つけてあげられたかもしれませんね。
次の画像は2014年8月13日にテレビ東京で放送された「最恐映像ノンストップ」という番組で紹介されていたもので、2011年1月20日の高知新聞に、自身の戦争体験を語る男性の写真が掲載されたのですが、その男性の背後に、外国人の霊と思われる姿が写っていたのです。
昔、使い捨てカメラが大流行した際には、カメラのレンズや本体がプラスチックの安物だったため、多重反射や露光エラーなどによって「心霊写真もどき」が大量に発生したそうですが、これはプロのカメラマンが撮った写真ですから、そういう可能性はなさそうです。
この画像を見る限り、この位置に人が立てるとは思えませんし、故意に画像を加工することもありえないでしょうから、どうやらこれは本物の心霊写真に間違いないようです。ひょっとすると、この霊は自分の存在をカメラマンに伝えたくて現われたのかもしれませんが、これも特に実害はなさそうです。
最後は、2014年6月30日に、福岡県の柳川高校で、女子生徒26人の集団パニックが発生して臨時休校となり、その翌日も臨時休校にしたことを報じるスポニチの記事です。
高校が2日間も臨時休校になるというのは、かなり異常な事態だと思われますが、この記事を読んだだけでは、女子生徒が何を叫んだのか、なぜ学校全体の授業が継続できなくなったのかといった事件の詳細が不明なので、心霊現象を連想する人は少ないかもしれません。
しかし、「buzznews」というサイトによると、この事件の目撃者がインターネット上に情報を流していて、女子生徒が「俺を殺してくれー」と叫んだり、飛び降り未遂が起こったそうですから、どうやら自殺者の霊が憑依して起こした事件だったようです。これでは、臨時休校もやむをえないですね。
自殺をする人は、死ねばすべてが終わると思っているので、死後も自分が生きていることを不思議に思い、肉体の死に気づくまで何度も何度も自殺を繰り返すそうです。それで、自殺があった場所を憑依されやすい人が通りかかると、自殺者の霊に憑依されて、死ぬ気はないのに自殺することもあるそうです。
こういったケースは、本当に恐ろしい心霊現象ですが、これも神仏に対する信仰心の欠如が原因だと考えれば、物質主義的な現代教育に対する警告と受け取ることもできます。もし、憑依が心配な方がおられましたら、「守護強化」を心掛けていただきたいと思います。
また、一生続く苦労も、永遠に比べれば一瞬です。もし人が、自分は永遠に生き続ける霊的な存在であるということを悟れば、自殺をする人はいなくなるのではないでしょうか。 (2015年12月13日)
56.幽霊の声
音に関する心霊現象としては、ラップ音が有名ですが、幽霊の声を聞く人も多いようです。そして、幽霊の声には、空気の振動を介さずに直接頭の中に音声が聞こえる「霊聴」と、実際に空気が振動する「物理的な音声」と、録音媒体だけに幽霊の声が記録される「音声の念写」の三種類があるようです。
「物理的な音声」が生じる原理としては、霊が空中に声帯のような構造物をつくって発声している可能性が考えられます。この場合は、周囲の人が同じ音声を聞き、録音媒体にも同じ音声が記録されるので、「霊聴」や「音声の念写」とは明確に区別できそうです。
幽霊の声を記録したと思われる動画がYouTubeに投稿されているので、少しご紹介しましょう。まず、「ザ・仰天ニュース 『違います』 心霊現象」という動画では、落語家の笑福亭鶴瓶さんが、「コックリさんて狐やん、なあ。狐やねん。」と言った直後に、「違います」という女性の声がかすかに聞こえます。
以前、「14.コックリさん」でご紹介したように、コックリさんは狐とは無関係ですが、一般の人はこのことを知りません。間髪入れずに「違います」と断言したということは、この声の主は霊界の事情に詳しいことは明白で、ひょっとするとこれは、霊界の住人が発した「物理的な音声」なのかもしれませんね。
「音声の念写」は、その場では誰も確認できなかったのに、後で聞いてみると人の声のようなものが録音されているという現象で、これは、音楽の録音スタジオなどで起こることもあるようです。
次の動画は、テレビ朝日で放送された「こだわりTV PRE★STAGE」という番組だそうですが、まず最初に、歌手の岩崎宏美さんの「万華鏡」というレコードに入ったうめき声が紹介され、これについて、ミュージシャンの池田貴族さんが解説しています。
この「うめき声」は、初めて聞いた人でも明瞭に認識できると思いますが、池田貴族さんの説明によると、最初はもっと音量が小さかったそうです。また、音楽関係者の耳は敏感なので、こういった異音が混入したものが商品として発売されることはありえないそうです。
したがって、どうやらこれは、「音声の念写」によって霊の声が後から記録されたケースと考えてよさそうです。特に、音量が変化する件は、時間の経過とともに幽霊の画像が変化するという話を聞いたことがあるので、本物の心霊現象の証拠と考えてよさそうです。
なお、この動画では、かぐや姫のコンサートで録音された不思議な音声も紹介されていますが、これは、テープを逆回転させて再生しても意味のある日本語になっているというもので、とても興味深い現象が同時に起こっていることになります。これについては、別の機会に詳しく解説したいと思います。
一方、アメリカでは、心霊現象を科学的に解明しようとする研究が古くから盛んで、「カラパイア」というサイトによると、すでに1933年には、エジソンが幽霊探知機を発明していたそうです。1984年に公開された「ゴーストバスターズ」という映画でも、科学者たちが超常現象に科学で立ち向かっていましたね。
幽霊の声に関しても、日本人はあまり聞きたがらないようですが、アメリカ人は電子機器を駆使して積極的に聞く努力を続けていて、現在では、幽霊の声をリアルタイムで再生する、スピリットボックス(Spirit Box)とかゴーストボックス(Ghost Box)とよばれる安価な装置が何種類も市販されています。
次の画像はその一例で、これらは小型のAM/FMラジオを改造して、再生する周波数を連続的に変化させることによって幽霊の声を再生するようです。製品名は、左から、「P-SB7」、「Sangean DT-400W」、「Radio Shack 12-587」(または、Shack Hack)、「Sangean DT-200X」です。
こういった電子機器によって不思議な音声が再生される現象は、EVP(Electronic Voice Phenomenon:電子音声現象)とよばれています。なお、ITC(Instrumental Transcommunication)という用語が使われることもありますが、こちらは画像や文字による交信も含まれるようです。
「EVP」でYouTubeを検索すると、幽霊の声を記録した動画がたくさん出てきますが、どれもノイズが強く、しかも英語ですから、よく聞き取れないものがほとんどでした。そんな中で、「SCD-1」というパソコンソフトを紹介する動画は比較的聞き取りやすかったので、よかったら視聴してみてください。
この動画を見る限り、電子機器による霊界通信は可能で、近い将来、亡くなった肉親や友人と親しく語り合える時代がやってくるのではないかと思いました。このソフトは、49.99ドルで売られているので、もしアメリカに行く機会があれば、買ってみたいですね。
なお、もしこのソフトを購入する場合は、周波数掃引が可能なAM/FMチューナーを内蔵したパソコンでないと使えない可能性があることや、宣伝用の動画なので、実際に使ってみて失望する可能性があることを考慮して、事前に十分調査することをお薦めします。
他にもゴーストボックスを実現するソフトがないか調べていたら、Google Play(グーグル プレイ)に、Android端末向けの「Ghost Box E1 Spirit EVP」というソフトが売られていました。これは日本で購入できるかもしれないので、ご興味のある方は調べてみてください。 (2015年12月27日)
57.狐火と人魂
昔の人は、怪異は人の霊だけが起こすものではなく、動物が起こすこともあると考えていたようで、不思議な発光現象を「狐火」(きつねび)とよぶこともありました。また、「狐火」が数多く連なって移動する様子は、「狐の嫁入り」とよばれました。
『狐火記』(佐藤垢石:著、墨水書房:1942年刊)という本によると、著者が子どものときには、この「狐火」がまたかまたかという感じで季節を問わず毎夜のように村の近くに現われたそうです。
著者の村は、群馬県の榛名山(はるなさん)の麓(ふもと)の前橋市の近くにあり、田圃(たんぼ)の果てや利根川の堤の上を「狐火」がにぎやかに連なっていたそうです。なお、著者は1888年(明治21年)生まれなので、19世紀までは、「狐火」が出現する様子が日常的に観察できたようです。
『狐火記』の著者の佐藤垢石氏は、学者ではなく作家なので、この話をそのまま信用していいのかどうか迷うところですが、実は、このような不思議な発光現象は昔から日本中で目撃されていたようです。
例えば、『木魚音』(藤原相之助:著、春陽堂:1942年刊)という本には、著者が少年時代に、暗い夜道を帰宅する際、山の中腹に松明(たいまつ)のような明りが2つか3つ現われ、それが次第に数を増して行列をなして移動した後、一度にぱっと消えるのを目撃したことが書かれています。
また、『土佐郷土民俗譚』(寺石正路:著、日新館書店:1928年刊)という本によると、高知市の南方にある孚(はらみ)山に、雨天には必ず不思議な光が現われ、それが高知市街からよく見えたそうで、列をなして移動する様子が葬式の行列を連想させるので、「そうれんひ」(葬連火)とよばれたそうです。
次の画像はYouTubeに投稿されていた動画の一場面で、列をなして移動する松明のような明りという意味で、とても「狐火」らしいと思い、ご紹介させていただきました。原題にはUFOと書かれていますが、映像を見る限り、いわゆる「宇宙人の乗り物」という意味のUFOではなさそうです。
なお、こういった不思議な光も、よく調べると人工物が原因だったということがあります。
例えば、九州の八代海や有明海で見られる「不知火」(しらぬい)は、怪光の代名詞でしたが、『光る生物』(神田左京:著、越山堂:1923年刊)という本によると、福岡県産業技師の藤森三郎氏が1916年から翌年にかけてこれを調査し、漁火(いさりび)が原因であることを明らかにしたそうです。
したがって、不思議とされる光が超自然現象であるかどうかを判断する際には注意が必要ですが、「不知火」は、出漁に不向きな雨や風の日には出現しなかったそうなので、雨の日を選んで出現する前述の「そうれんひ」は、超自然現象であった可能性が高いのかもしれません。
一方、人の霊が起こすと信じられていた不思議な発光現象に、「人魂」(ひとだま)があります。
左の図は、『子供の科学文庫 火と焔』(白井俊明:著、誠文堂新光社:1948年刊)という本に紹介されている「人魂」の図で、出典は和漢三才図会という江戸時代の百科事典です。
これを見ると明らかなように、「人魂」は尾を引いて単独で飛ぶのが特徴で、列をなして移動する松明のような「狐火」とは明確に区別されていたようです。
『科学的教養』(小泉丹:著、春秋社:1948年刊)という本によると、「人魂」の原因としては、可燃性の軽いガスやリン、発光する動植物、人間の錯覚などの説が従来からあったそうです。
著者の小泉丹(こいずみまこと)氏は、動物学者で、科学的な視点から怪異現象を分析していますが、可燃性の軽いガスやリンが「人魂」の原因であるとする説は、科学的な根拠に乏しいと分析しています。
また、発光する動植物に関しては、これらが空中を浮遊することを説明するのが困難であることを指摘しています。
そして、こういった現象を、現在我々が所有している知識だけで判断するのは非科学的なことであると断言しています。これは、未知の現象を研究する際の大切な心構えではないでしょうか。
次の画像はYouTubeに投稿されていた動画の一場面で、尾を引いて飛ぶ様子がとても「人魂」らしいと思い、ご紹介させていただきました。
この現象が撮影された場所は、アメリカ合衆国のほぼ中央にあるコロラド州の州都デンバーから南に80kmほどのところにあるブラック・フォレストで、そこに、不思議な現象が頻繁に起こることで有名なログハウスがあり、科学者を含む多くの研究者がここを訪れて調査したそうです。
そういった調査の一環として、ログハウスの屋外に設置された定点カメラが、この不思議な発光現象をとらえたようですが、この動画には、これ以外にも非常に興味深い映像がたくさん登場するので、よかったら動画の方もご覧ください。
ところで、この場所が有名になったのは、ここに住む一家が「Sightings」(目撃)というテレビ番組に連絡し、放送されたことがきっかけだそうです。日本だと、心霊現象の話をテレビで放送する場合は、場所も顔も名前も伏せるのが一般的ですが、その点アメリカ人は堂々としていますね。
また、日本では、テレビなどで有名になった心霊スポットには、興味本位の迷惑な連中が肝試しに押しかけてくる場合が多いのに対して、このログハウスは科学的な研究対象になっており、さすがはアメリカ人だなと感心しました。
なお、「BLACK FOREST HAUNTING」で検索すると、このログハウスについて解説しているサイトが複数出てくるので、事件の経緯をもっと詳しく知りたい方は検索してご覧ください。 (2015年3月23日)
58.妖怪
昨年は、「妖怪ウォッチ」というアニメが大人気でしたが、妖怪人気は今に始まったことではなく、古代から人々の関心の的だったようです。例えば、中国には『捜神記』(そうしんき)という、4世紀ごろに書かれたとされる怪異集が現代に伝わっていて、その本には多くの妖怪が登場します。
ただし、その正体は、大部分が死者の霊で、他は犬、狐、狸、蛇、鳥、樹木の精霊などです。したがって、アニメのイメージとはかなり異なりますが、興味深い話が多いので、よかったら国立国会図書館デジタルコレクションでご覧ください。書名は、『国訳漢文大成 第十二卷』(国民文庫刊行会:1924年刊)です。
面白いのは、当時から狐や狸が人間にばけると考えられていたことで、狐がドクロを頭にのせて美女にばける話も出てきます。日本の伝説にも、狐や狸が人間にばけた話が数多く存在し、特に狐は美女にばけるのが定番なので、これはひょっとすると『捜神記』の影響かもしれませんね。
そう考えると、こういった話の大部分は錯誤かねつ造によるものなのでしょうが、「19.憑依する狐と狸」でご紹介したように、狐や狸が人間に憑依することは実際にあるようなので、狐や狸が人にばけたという話も、そのすべてを否定することはできないのかもしれません。
例えば、『動物界霊異誌』(岡田建文:著、郷土研究社:1927年刊)という本には、1920年(大正9年)ごろの出来事として、老婆が狐にばかされた話が載っています。
それによると、石見(いわみ)国邑智(おおち)郡君谷村(現在の島根県邑智郡美郷(みさと)町)の日高政市氏が、妻と隣村に外出した際、留守番をしていた老母が、日も暮れて非常に寂しい感じがしたので息子夫婦を迎えに行こうとしたところ、ちょうど隣家の嫁がひょっこりと向こうからやってきたそうです。
そこで老母は隣家の嫁に同行してくれないかと頼み、二人で隣村に向かったところ、途中で息子夫婦と出会ったのですが、政市氏が母親にどこに行くのか尋ねたところ、彼女は、隣家の嫁と一緒に息子夫婦を迎えに行くところだと語ったのだそうです。
つまり、この老母は息子夫婦が分からなくなっていて、しかも、政市氏には隣家の嫁は見えなかったそうです。そこで、彼は母親の目を覚まさせるため、大声で「気を確かに!」と叫んだり、身体を揺さぶったり叩(たた)いたりしたそうですが、一向に正気に戻る気配はなかったそうです。
この大騒ぎに、村内から人が集まってきたのですが、誰かが「あそこに狐がいる!」と叫んだので、その人が指さす方を見ると、一匹の狐が尾を垂直に立てて熱心にこちらを見ていたそうです。この狐は追い払っても逃げず、銃を取り出して向けたらやっといなくなり、老婆は翌日には正気に戻ったそうです。
もしこれが事実だとすると、狐が人にばけたという話は、実は狐が人間に変身したのではなく、人間の精神を支配して幻覚を見せていたというのが真相のようです。憑依も、人間の精神を支配するという意味では同じ現象ですから、狐が人に憑依するのなら、幻覚を見せることも不可能ではなさそうですね。
狐の話をご紹介したついでに、次は狸の話をご紹介しましょう。実話怪談を集めた『妖怪奇変 化物語』(杉浦野外坊:著、磯部甲陽堂:1907年刊)という本によると、1894年(明治27年)の夏、東京のど真ん中の人通りの激しい場所で、「石降り騒動」とよばれる非常に奇怪な事件があったそうです。
本文の説明では、九段坂下から江戸川方面へ北に向かって進むと、飯田町五丁目のところで、左の牛込方面と、右の小石川方面に分かれる交差点があり、そこに騒動の中心点となった交番があったそうです。これは、次の明治時代の地図から判断すると、飯田橋付近ではないかと思われます。
最初は、この交番の近くの民家に、夜の8時すぎから9時前後の間に、毎日鶏卵大の石が3個から5個飛んできたそうです。その後、被害がこの交番にも及ぶようになったため、警察が近隣の悪童たちを拘引したそうですが、依然として石は降り続いたそうです。
また、以前このあたりで稲荷の小祠(ほこら)を取り壊したことがあったので、その神罰かもしれないと、寄付を募って稲荷社を新築し、祭礼を執り行なったのですが、やはり石は降り続いたそうです。
また、「伝通院というところで易(えき=占い)を立ててもらったところ、池袋から出てきた者がいるとこのような祟りがあるので、すぐに立ち退かせるように言われた。」と申し出る者がいて、結局、近所の豆腐屋が立ち退く羽目になったそうですが、それでも石は降り続いたそうです。
この不思議な事件を新聞が競って書き立てたため、遠方からも大勢の見物人が集まるようになり、付近は芋を洗うような混雑ぶりとなったそうです。また、この群衆を目当てに屋台や夜店が並び、毎夜大きな縁日でもあるかのような光景を呈したそうです。
そして、この群衆は、石が降ったのを認めると、一斉に天地も裂けんばかりの万歳を連呼したそうです。また、石が群衆の中に落ちた場合は、その石を奪い取ろうとして大混乱になり、負傷する者も少なくなかったそうです。
そうこうするうちに、石が飛び出す場所がほぼ判明したので、その近くに巡査や有志の者が手に手に棒をもって身を潜め、石が飛び出た瞬間に十数匹の犬を放して一斉に襲い掛かり、ついに犯人を捕らえることができたのですが、見るとそれは、年老いた赤毛の大きな一匹の狸だったそうです。
著者は、「わずか一匹の狸のために、数万の人々が馬鹿にされたのである。」と話を結んでいますが、大群衆に臆することもなく毎晩石を降らせ続けたこの狸は、正に立派な妖怪であったと言うことができるのではないでしょうか。
なお、『狸考』(佐藤隆三:著、郷土研究社:1934年刊)という本によると、狸が人を驚かす話は全国的に存在していて、それらは次のように分類できるそうです。(著者は9つに分類していますが、ここでは信用できそうな前半の4つをご紹介しています。)
1.戸叩き - 深夜に、民家の戸を叩く (起きて戸を開けても誰もいない)
2.小豆洗い - 深夜に、ザクザクと小豆を洗うような音を立てる
3.砂まき - 毛に砂を含ませ、夜間、崖下や木の下を通行する人に砂を振りかける
4.礫(つぶて)投げ - 崖の上や庭先から、小石を飛ばす
したがって、この本を信じるなら、妖怪として有名な「小豆洗い」や「砂かけ婆」の正体は、どうやら狸のようです。狸は夜行性なので、夜間にこういった行動をとること自体は不思議ではないのかもしれませんが、人間を標的にしている点が、狸が妖怪である所以(ゆえん)なのでしょうね。
一方、死者の霊は、通常は妖怪ではなく幽霊とよばれますが、人間の姿から著しく変形している幽霊は、やはり妖怪とよぶのがふさわしいようです。
『天狗の面』(田中貢太郎:著、春陽堂書店:1940年刊)という実話怪談を集めた本には、「天井裏の妖婆」と題する話が載っているのですが、この妖婆は、ひょっとすると死者の霊が半ば妖怪化したものかもしれないので、ここでご紹介することにしましょう。
それによると、鏑木清方(かぶらききよかた)画伯の夫人が、産褥熱で入院したときのこと、入院後二、三日してから、夜中にふと目を覚まして天井を見たところ、小紋の着物を着て髪を振り乱した老婆が、折れ釘のような首をさしのべて夫人の顔をぎろりと見ていたそうです。
夫人は、こういう場合の言い伝えを思い出し、きっと唇をかんで老婆の顔をにらみ返したところ、老婆は忌々しそうに舌打ちをして、「おまえさんは、強情な女だね」と言ったかと思うと、後ずさりして隅の方へ行くなり、消えて見えなくなったそうです。
そこへどたどた足音がして担当の看護婦が飛び込んできて、息をはずませながら何か変わったことはなかったかと尋ねるので、夫人が別に何もないと答えると、その看護婦は、
「今、奥さんの部屋から誰か出て行ったような気配がしたので、不思議に思ってますと、この次の次の病室にいる患者さんが、ふいに天井を指さして、何か来た、何か来たと言いながら、息を引きとりました。」
と語ったので、これを聞いて、気丈な夫人も思わずぞっとしたそうです。
次は、完全に妖怪化した死者の霊の話です。
インドネシアには、ラワン・セウ(Lawang Sewu)という観光名所がありますが、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルの「アジア恐怖伝説インドネシア編」によると、ここは心霊スポットとしても有名で、この近くで活動している霊能画家のアンドレアスさんは、ラワン・セウには人間離れした姿のものも含めて41体の霊が棲んでいると語っています。
次の画像はアンドレアスさんが描く、インドネシアの黒魔術師の死後の姿です。彼によると、黒魔術師は、死後、頭が蛇の姿に変化した「シルマン」(Siluman)とよばれるものになるそうですが、この不気味な姿は、我々の感覚からすると、まさしく妖怪とよぶべき存在ですね。
ところで、日本には、ワラ人形に五寸釘を打ちつけて呪いをかける丑(うし)の刻参りという呪術があり、現在でもこれを行なう人がいるそうですが、死後、その恨みの念によって自身が妖怪化するとしたら、恨みを晴らすことの代償としては大きすぎると言わざるを得ないですね。 (2016年4月24日)
59.未確認生物
新種の生物は毎年たくさん発見されているそうで、2015年10月6日のAFPBBニュースは、ヒマラヤ山脈東部という限られた地域におけるここ数年間の成果として、『「くしゃみザル」や「歩く」魚など、新種生物211種をヒマラヤで発見』と伝えています。
したがって、まだ確認されていない珍しい生物がいたとしても何の不思議もありませんが、ここで取り上げる未確認生物(英語では「Cryptid」)は、珍しさの度合いが常識を超えているものたちです。
◆牛鬼(うしおに)
『邑久郡郷土読物』(邑久郡教育会国民科研究部:1940年刊)という本によると、岡山県の牛窓(現在の瀬戸内市)には、神功皇后の時代(4世紀中頃?)に、牛鬼という怪物が現われたという言い伝えがあるそうです。
それによると、神功皇后の船団が牛窓沖を航行中に、牛鬼が現われて船を転覆させようとしたのですが、そのとき、磯辺から住吉の神が白髪の老人となって現われ、白木の弓に蓬(よもぎ)の矢を番(つが)えて、牛鬼を真っ向から仕留められたのだそうです。
この本には、牛鬼について「角を振り立てて」としか書かれてないので、牛鬼がどのような姿をしていたのかは不明ですが、名前から考えて、牛のような胴体に鬼のような頭がついていたのかもしれません。また、船を転覆させようとしたことから考えて、牛鬼は、海中に棲む、泳ぎが得意な巨大生物のようです。
情報がこれだけなら、牛鬼はただの空想的なおとぎ話とも考えられますが、これ以外にも、西日本の各地に牛鬼の伝説が存在するので、危険な巨大水棲生物が日本にいた(あるいは、現在もいる)可能性はゼロではなさそうです。
例えば、『幽冥界研究資料第二巻 靈怪談淵』(岡田建文:著、天行居:1926年刊)という本には、江戸時代末期、石見(いわみ)國大田町字新市(しいち)(現在の島根県大田市大田町)の中屋の政五郎という染物屋の職人が、自宅から一里半(約6km)離れた静間村字魚津(現在の大田市静間町魚津)で夜釣りをしているときに牛鬼に遭遇した話が載っています。
それによると、昔からこの地方には、「牛鬼は海から出現して人を喰う海妖で、その額には一本の角がある。それが現われる前には必ず濡女(ぬれおんな)というものが現われる。その女は岩か嬰児(あかご)のようなものを抱いていて、それを抱いてくれと頼むが、濡女に頼まれると、なぜか断れなくなってしまう。そして、その嬰児のようなものを抱くと、手から離れなくなる。すると、濡女は海中に消え、やがて牛鬼が現われる。」という牛鬼の伝説があったそうです。
ある夜、政五郎がいつものように魚津に行き、一人で釣りをしていると、どこからともなく何かを抱いた女が現われ、「ちょっとこれを抱いてください。」と話しかけてきたそうです。彼は、とっさに古老から聞かされていた牛鬼の話を思い出し、履いていたあしなか(かかとの部分がない、短いぞうり)を脱いで手につけ、それで女から渡されたものを受け取ったそうです。
すると、女は海に消えたので、政五郎は受け取ったものを投げ捨て、はだしのまま懸命に走り出したのですが、間もなく、大きな黒いものが後ろから追ってくるのが見えたので、一軒の農家に飛び込んでかくまってもらい、危ういところで難を逃れることができたそうです。ただし、あまりの恐怖に、彼は当分の間は意識がぼんやりしていたそうです。
海上保安庁の発表によると、釣りをしていて死んだり行方不明になる人は毎年100人前後に上るそうです。ひょっとするとそのなかには、牛鬼に襲われた人がいないとも限りません。一人で夜釣りに行く場合は、どうぞお気をつけください。
◆ロペン(Ropen)
これは、ヒストリーチャンネルの「MonsterQuest」という番組の「Flying Monsters」と題する回で紹介された、プテラノドンによく似た巨大な飛行生物です。ロペンは、パプアニューギニアの山岳地帯に生息し、翼を広げると9メートル以上あり、夜行性で、自ら光を発するのが特徴だそうです。
ロペンが広く知られるようになったのは、1944年に、当時アメリカ軍の戦闘機のパイロットだったデュアン・ホジキンソン氏(Mr. Duane Hodgkinson)が、パプアニューギニアの山中を徒歩で移動中に、ロペンが飛び立つ様子をすぐ近くで目撃したことが始まりだそうです。
この動画では、研究者や現地の人の目撃証言も数件紹介されていますが、それなりに真実味があります。また、アフリカでは、コンガマトーという、やはり翼竜によく似た生物が目撃されているそうです。さらに、「Ropens」というサイトによると、ロペンに似た生物がアメリカ大陸でも目撃されているそうです。
したがって、ひょっとするとロペンは、今後決定的な証拠が得られる可能性が高い未確認生物なのかもしれません。ただし、ロペンは人間を襲う危険な生物なので、たとえパプアニューギニアに行く機会があったとしても、ロペンを探索しようなどとは決して考えないようにしてください。
◆ユーラップ岳の怪物
『山の不思議 海の怪異』(島影盟:著、森田書房:1936年刊)という本によると、ユーラップ岳の山中の沼に、イルカぐらいの大きさで、前脚がなく、退化した翼のようなものをもった、ワニかトカゲのような怪物がいたのを、シルイカという名のアイヌの猟師が目撃したそうです。
ユーラップ岳は、北海道の南西、渡島(おしま)半島のほぼ中央にあり、標高は1,277メートルで、身長の2倍もある熊笹が生い茂った奥深い山だそうです。この山には、熊が冬眠に使う穴が何百もあり、シルイカは、穴ごもりする前の熊を二連発の村田銃で撃ちとるため、このユーラップ岳にもぐり込んだそうです。
ユーラップ岳に入ったシルイカは、妖気を感じてその沼に近づいたのですが、この怪物の毒気に当てられたのか、怪物を目撃した直後に頭がくらくらしてきたそうです。彼は、風上に向かって逃げることでなんとか部落(コタン)に戻ることができたのですが、結局、その後死んでしまったのだそうです。
この本には、シルイカの話を裏付ける証拠として、似たような怪物が近くのフトロ岳などでも目撃されていることと、ユーラップ岳に入って亡くなったアイヌの猟師が何人もいることが挙げられていますが、私は、この怪物に翼があって前脚がないという描写に真実味を感じてこの話をご紹介しました。
なお、この怪物に前脚がないことを不思議に思う方がおられるかもしれませんが、鳥の翼は前脚が変化したものですから、翼をもつ以上、前脚がないのが当たり前です。
前述の「ロペン」でご紹介した動画には、前脚と翼をもった生物の絵が登場します(左の画像)。これは、1595年に描かれたパプアニューギニア付近の海図で、航海者に危険な生物がいることを警告するものです。
しかし、これでは大胸筋が使えないので、この生き物は強く羽ばたくことができなかったはずです。ひょっとすると、巨大なエリマキトカゲのような生物がいて、それを西洋のドラゴンと見誤ったのかもしれませんね。
◆疾走する怪人
ブラジル北部の都市ベレンから北東約50kmのところに、サント・アントーニオ・ド・タウアーという街がありますが、そこから12kmの森の中で水遊びをしていた3人の少年たちが携帯電話を使って撮影した動画に、非常に興味深いものが映っていました。
それが次の画像ですが、何かが少年たちの背後を右から左に素早く移動していて、よく見ると手や足のようなものも確認できます。したがって、人間に似た何かが画面を横切っているようですが、少年たちの反応から判断して、普通の人間ではなさそうです。
この動画は、2011年12月24日に放送されたテレビ朝日の「ビートたけしの超常現象SPマル秘Xファイル」という番組で紹介されていましたが、テレビの画像を分析したところ、この動画は5コマ/秒で撮影されていました。したがって、左右の画像の時間間隔は0.2秒となります。
移動距離は推定するしかありませんが、2メートルと仮定すると、移動速度は秒速10メートルとなり、オリンピック選手並みのスピードとなります。確かに速いのですが、決して目視できないスピードではありません。しかし、怪人が再び背後を通過するまで、少年たちはその存在を認識できていないようです。
なお、この映像がCGである可能性も調べましたが、この事件を報道するニュース映像(EL FANTASMA DEL ARROYO - BRASIL)を見ると、報道機関の取材に応じた少年は信仰をもっていて、起こっていないことは話さないと語っていることから、私はこの映像を信じてもよいのではないかと思いました。
また、似たような動画が別の場所でも撮影されているようです。現在では、毎秒30コマでハイビジョン画質の動画が撮影できるスマートフォンも普及しつつあるので、いずれこの怪人の鮮明な画像が撮影されて、その正体が明らかになる日がくるかもしれませんね。
◇
ところで、こういった未確認生物の正体がなかなか突き止められない理由のひとつとして、異界の存在が考えられるかもしれません。異界は、「日本の霊性-2.天孫降臨」でご紹介したように、この世界と並行して重なり合うように存在する別の世界のことです。
異界の出入り口は、地球上の様々な場所に存在するそうなので、未知の生物がときどき異界からこの世界にやってきて、しばらくするとまた異界に帰っていくと考えれば、未確認生物が容易に発見できないことも無理なく説明できるように思われます。
なお、宇宙人もある意味、未確認生物ですが、仮に宇宙のどこかに知的生命体がいたとしても、遥か遠方から地球にやってくる費用と労力を考えると、地球上で宇宙人を発見する確率は限りなくゼロに近いでしょう。また、宇宙人が地球に到着できたとしても、別の問題が存在します。
『二酸化炭素と地球環境』(大前巌:著、中央公論新社:1999年刊)という本によると、地球の大気の組成は、多い順に窒素78%、酸素21%、アルゴン0.9%で、二酸化炭素は4番目に多い0.036%だそうです。そして、二酸化炭素の許容濃度は0.5%と書かれており、それ以上だと人間は死んでしまうようです。
つまり、生物は、生まれた星の大気の組成に大きく依存した進化を遂げており、大気組成の異なる星で宇宙服なしで生活することは不可能だと思われます。また、仮に大気の組成の変化に順応できる宇宙人がいたとしても、微生物に対する免疫がないので、宇宙服の着用は必須だと思われます。
したがって、世の中には宇宙人と称する映像が数多く出回っていますが、宇宙服を着てないヤツは宇宙人ではないと考えて間違いないでしょう。我々は、映画やテレビによって洗脳されているので、生命が存在する星なら宇宙服なしで生活できると考えがちですが、もっと冷静に判断する必要があると思います。
それに対して、異界はこの世界とつながっていて、大気も微生物もこの世界と共通なので、見慣れない存在が異界からの来訪者であれば、呼吸や免疫、燃料費などの問題も解決します。こう考える方が、より合理的なのではないでしょうか? (2016年5月22日)
60.リバース・スピーチ
今回は、かぐや姫のコンサートで録音された、逆再生しても意味が通じる不思議な音声について詳しくご紹介したいと思います。これは、「56.幽霊の声」でご紹介した「PRE★STAGE レコードの中に入った霊の声」というYouTube動画で、2番目に登場する霊の声です。
池田貴族さんの解説によると、この声も、岩崎宏美さんの「万華鏡」というレコードに入ったうめき声と同様、以前よりも音量が大きくなっているそうです。また、彼は、客席の人の声をマイクが拾ったという可能性についても、明確に否定していました。
したがって、奇妙な声が録音されただけでも不思議ですが、この声を逆再生すると、意味のある文章が聞こえるという、二重に不思議な現象が発生しているというのですから、本当に驚きです。
実は、この話は何度かテレビで取り上げられていて、最近では、2014年1月10日にテレビ朝日で放送された「眠れぬ夜の恐ろしい話」という番組で紹介されていました。
出演者の生瀬勝久さんは、このテープを聞いて、「ワタシニモキカセロ」という声が聞こえたと言っていました。また、テープの同じ部分を逆回転させて再生した音声は、「ワタシモソコニイキタカッタ」と聞こえたそうです。よかったら皆さんも試聴してみてください。
◆普通に再生した音声: 「ワタシニモキカセロ」
◆逆再生した音声: 「ワタシモソコニイキタカッタ」
私は、音声を逆再生して意味のある文章ができるはずがないと思っていたので、これは手の込んだ作り物だろうと判断していたのですが、昨年、友人から「リバース・スピーチ」(Reverse Speech)というものが存在することを教えられ、考えを改めることになりました。
その友人からプレゼントされたのが、『リバース・スピーチ 音声を逆再生すると、不都合な真実が暴かれる!!』(水守啓:著、学研パブリッシング:2013年刊)という本です。
この本によると、1984年に、オーストラリアのデイヴィッド・ジョン・オーツ氏(Mr. David John Oates)が、ロック音楽を逆再生すると意味のあるメッセージが聞こえるという現象を発見し、リバース・スピーチと名付けたのだそうです。
そのロック音楽の代表が、1971年に発売されたレッド・ツェッペリンの名曲、「Stairway to Heaven」(天国への階段)で、これを逆再生すると、悪魔を賛美するメッセージがいくつも聞こえるそうです。
オーツ氏は、その後、2000以上の楽曲を分析した結果、このリバース・スピーチ現象が、ほぼ2分の1の確率で観察されることを発見し、この現象が作為的なものではなく、普遍的なものであることを明らかにしたそうです。
また、この現象は、音楽だけでなく、日常会話においてもしばしば観察され、しかも本人の本音が現われるので、うまく活用すれば、人生の問題を解決することも可能になるそうです。
もし、こういったことにご興味のある方は、この本を購入するか、「驚異のリバース・スピーチ」というサイトにアクセスしてみてください。
なお、逆再生して意味のある言葉が聞こえたからといって、すぐにリバース・スピーチだと判断するのは危険です。「池」(ike)という言葉を逆再生して「駅」(eki)と聞こえたとしても、それは当たり前のことですから。こういったケースは意外と多いので、注意が必要です。
例えば、日本ブレイク工業の社歌を逆再生したもの(日本ブレイク工業社歌 逆再生ver.)がYouTubeにあり、「よ~く冷える」(yo-ku hieru)という言葉が聞こえてとても面白いのですが、これは「ブレイク工業」(bureiku ko-gyo)の部分の逆再生なので、ローマ字表記から考えて、そのように聞こえても不思議ではないことが分かります。
また、ローマ字で表記しても判別が困難な場合があります。一例として、6月19日に放送されたNHKの「日曜討論」から、安倍晋三自由民主党総裁の発言をご紹介しましょう。これは、岡田克也民進党代表が、アベノミクスの果実が21兆円というのは事実に反すると指摘したことに対する弁明の一部分です。
◆普通に再生した音声: 「経済が成長しなければ」
◆逆再生した音声: 「???消費税下げアゼ~」
「経済が成長しなければ」のローマ字表記(keizai ga seichou shinakereba)から判断して、「消費税」(shouhizei)という単語は現われないような感じがするので、一瞬、これは消費税を下げたいという安倍首相の本音が現われたのかと思いましたが、自分の声を録音して逆再生しても同じように聞こえるので、これはリバース・スピーチではないということが分かります。
したがって、リバース・スピーチを聞き分けるには、ある程度熟練を要すると思いますが、最初にご紹介した「ワタシニモキカセロ」が、逆再生すると「ワタシモソコニイキタカッタ」となる現象は、自分の声では再現できなかったので、霊の本音が現われた本物のリバース・スピーチと考えてよさそうです。
最後に、インターネットで「逆再生」について検索していて、オバマ大統領の名演説の「Yes, We Can!」を逆再生すると「Thank you, Satan」に聞こえるという珍説を発見したので、次のYouTube動画から該当部分を抜き出して、逆再生して本当にそう聞こえるか検証してみました。
◆普通に再生した音声: 「Yes, We Can!」部分、約37秒
◆逆再生した音声: 「?」
これを聞く限り、私には、この珍説はガセネタとしか思えませんでしたが、それよりも、「Yes, We Can!」を連呼する聴衆の声が、逆再生してもやはり「Yes, We Can!」と聞こえることに感動しました。どうやら聴衆は、「そうだ、我々にはできる!」と本音で叫んでいたようですね。 (2016年6月26日)